2012年3月26日

ところでGoogleってどうやってあんなに稼いでるの?


Googleは、超クールなサービスを次々と無料でリリースする菩薩様のような会社だと思われています。

しかしまた、「グーグルって何をやってあんなに儲けてるんだ」と不思議に思われているのではないでしょうか。「よく分からんがありがたいことだ」とナマンダブナマンダブと思っている人もいるかもしれません。

もしかすると「自分の知らない世界で、自分の知らない人たちを相手に、よく分からない1コ10億円とかの企業向けサービスを売ってるんだろう」などと漠然と思っているかもしれません。

ところが、Googleほど収益源が直接知られている会社も珍しいのです。


Googleの戦略は10年前から微動だにしていない

それがこれです。


Google.comとあるのがGoogle.comを始めとする自サイトからの直接の広告収入、Networkというのは、Adwordsなど自サイト以外に掲載する広告からの収入、そしてOtherというのがYoutube事業、Android事業などから得られる収入です。

つまり、96%が広告収入であることが分かります。

Googleは途方もなく色々な方面に手を出しているように見えて、実は昔も今も徹頭徹尾たった一つの事業に集中しています。

それは、検索事業です。もっと直接言えば、自サイトに載せる広告事業です。

Googleは数十万台規模のデータセンターを世界各地に作り、あまりに規模が大きすぎて電力会社さえ電気を供給しきれなくなったため、専用の発電所まで自前で建造しています。

ブラウザを一から作って、まったく参入の余地がないと考えられていた成熟しきったブラウザ業界にいきなり飛び込んでいき、またたくまにシェアを奪い取りました。

なんのために?

もちろん、すべてはWeb検索を0.01秒速くするためです。

ではなぜ、Googleはそこまで検索にこだわり抜くのか?

もちろん、それが金になるからにほかなりません。

自前で発電所を建造してまで検索速度を叩き出すことにこだわるのは、端的に言って、そうすると広告が取れるからです。

もし、今より0.01秒もの劇的な速度向上が図れたら、Googleの広告収入はおそらく、数億~数十億ドル規模で増加するでしょう。

Googleは昔も今も広告会社だ

Googleの収益源は、創業当時から今の今までずっと広告です。徹頭徹尾広告で収益を上げている会社なのです。

Googleは、自分たちの唯一のビジネスは広告プラットフォームであること、そして広告プラットフォームとしての価値は「人が集まること」以外にはないことを徹底的に理解しています。人を集めるにはどうしたらよいかだけを、徹底して考えぬいているのです。

だからGoogleは「人々が快適に検索するにはどうしたらよいのか?」を、世界中の英知を集めては営々と追求し続けているんですね。人は快適な空間に集まってくるからです。

Googleの凄みはここにあるわけです。

Gmailも、Chromeも、Google Calendarも、YouTubeも、Androidも、PicasaもWebMもFeedBurnerもGoogleTalkも、その他無数のあらゆる技術、あらゆる企業買収、あらゆる戦略が、すべて「人々の検索を快適にする」ために結集されていることです。あらゆる資源と戦略がこの一点に集中されていて、いっさいブレません。これは本当にすごいことです。

検索以外はすべてオマケ

だから、検索以外のサービスは、すべて人を集めるためであって、そこから直接収益をあげようとはほとんど考えていません。

もちろん、お金を取る有償サービスはありますし、地味にアプライアンス機器なんかも売っていたりします。

しかし、それは収益を上げるためというよりは、無料サービスを悪用や乱用されないために敷居を上げるという程度のものです。

Androidは素晴らしいけれど

だから、Android OSなんてのは、いわば「Google社自体のコマーシャル」なんですね。Googleさんは、「そんなもんハリボテで十分」と思ってるのがうっすら透けて見えないでしょうか。

奇跡の思想家スティーブ・ジョブズが作ったiPhoneに「思想性」で勝てるわけないのは、ジョブズと仲よかったエリック・シュミットなら骨身にしみて分かってるだろうし、自分たちの強みがそこにないことなんて百も二百も承知しています。

だから、Androidなんて「ハリボテで十分」と思ってるんです。「ハリボテでも広告取れる」ってね。

韓国の世界有数の巨大コングロマリットに端末作らせたり、世界有数の名門通信機器メーカーを買収しちゃったりしたけど。ハリボテなのに(笑)。人が悪いよね。

その名門企業モトローラ買収までしておいて、Android端末事業で儲けようという気があまり見られないのは、だから当然なんです。

だってコマーシャルなんだもの。

内心、「端末事業なんかで数億ドルやそこらの小遣い銭を稼いだって知れている」と思っているんです。

それよりも、OSや、なんなら端末まで無償で提供してしまって世界中の人に使ってもらい、そこに載る広告を押さえる方がよほど大きいことを知っているんです。

Googleはどこへ行くのか

Google+、いくらテレビコマーシャルを打とうが、キャンペーンを張ろうが、どうしてもイマイチ本気度が伝わってきません。

だって、Google+にいくら人を集めたところで、8億人分の情報がFacbookから出てくるわけではないんだから。

そもそも、なぜGoogleがFacebookに対抗する必要があったのかと言えば、Facebookが、Facebook内のページをいっさい検索に引っかからないようにしているから、だったはずです。

「世界をインデックス化する」ことを経営目標としているGoogle神としては、当然そんな存在を許せるはずがありません。インターネットというオープンで透明な世界に、突如まったく不可視の暗黒大陸が出現したわけです。これは許せませんね。

あと、神としてちょっとだけ気になると言えば、広告収益もFacebookに横取りされますし。

Google vs Facebookの構図

つまり、Google vs Facebookというのは、広告プラットフォーム同士の戦いです。

売上規模で言えば、まだまだFacebookはGoogleの5分の1かそれ以下とはいえ、これまで既存の広告媒体を追い上げ、追い越し、駆逐してきたGoogleにとって、別の広告媒体に追い上げられるという初めての経験をしているのです。

Googleとしては相当焦っているんだろうと思います。

だから、Google+などという、スマートなGoogleにしては珍しい迷走をしているわけです。

これがどう決着するかは分かりませんが、しかし、長期的に見れば、結局のところGoogleが強いのではないかと思っています。

Facebookは、だんだん「必要な時だけログインする」という、交通手段のような、回覧板のような、新鮮味に欠ける存在になっていくのではないかと思います。

いっぽう、「情報を検索する」というのは、コミュニケーションを含む人間のあらゆる活動に直結する行為ですから、これが簡単に弱っていくとは思えません。

それに、Facebookはザッカーバーグ以外が見えてきません。Googleは、セルゲイ・ラリー・エリックの三巨頭も有名ですが、たとえばロブ・パイクケン・トンプソンなど伝説上の人物がいたり、DARPAの長官を引っこ抜いたりと、人材の層の厚さは、桁が違うと言っていいくらい圧倒的な差があります。

まあこんな予想はどちらもはずれで、FacebookでもGoogleでもないまったく新しい勢力があらわれ、またたく間にこの2社を旧世代に追いやってしまうような気もしますけどね。

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