2012年7月11日

本当は恐ろしいIT業界を他人に分かりやすく説明してみる


Photo by Desmond Kavanagh

IT業界に身を置いていると、外部からやたらと非難されます。

たとえば「なんでそんなに時間がかかるの?」「普段なにやってんの?」「プロなんだからそんなの織り込んどけよ」などなど。

いやー色々難しいんですよ、などと言葉を濁していますが、IT業界のこの悲哀を一般の人にどう説明すればいいのか考えてみました。


時間がかかるのは、予期しないトラブルが頻発するからで、別に好きで会社泊してるわけじゃないのです。

でも、はたから見ると、たったそれだけのことにどうしてそんなに時間がかかるのか不思議でしょうがないらしく、しょっちゅう質問とも非難ともつかない言葉を投げかけられます。

そこで、「こんなことをやってるんだよ!」と、一般の人にも分かりやすいようなたとえを考えてみました。

IT業界はこんなことをやっている(風に見える)

出がけにいきなりトラブる

Photo by versageek

あなたはお客さんと打ち合わせがあるとします。約束は10時、相手先は車で30分くらいのところです。

余裕を見て9時15分くらいに会社を出ました。


車に乗り込むと、まずいきなりエンジンがかかりません。別に整備を怠っていたわけでもありませんし、前日までなんの問題もなく乗っていた車です。



「バッテリー上がりか?まさかエンジントラブル?」



などと冷や汗をかきながらああだこうだやっていると、知らないうちにハンドルロックされていて、エンジンがかからないようになっていたのでした。


やれやれ、と思いながら車を発進させると、今度はブレーキが効きません。

駐車場の縁石に軽くぶつけてなんとか止めて原因を調べてみると、さっきエンジンのことをごちゃごちゃやっているうちにブレーキ板の下にライターがはさまって、踏み込めないようになっていたのでした。



「あっぶねー!このまま道路に出てたら死ぬところだったよ!」



脂汗をかきながらようやく出発です。

自分のせいじゃないけれど

右折すればもうすぐお客さんのところ、という交差点で、なぜか道路工事をやっていて、なんと右折禁止になっています。



「困ったなー。直進するしかないか」



しかたがないのでまっすぐ進みます。

→→→→
↑  ↓
↑  ↓
↑  ↓
↑  ↓
↑  →→→

こういうルートをイメージしていたのですが、東京の道をなめていると痛い目にあいます。

この辺でいいだろうと思って曲がってみたら、なんだかよくわからない住宅街に紛れ込んでしまい、今どこを走っているのかすらよく分からなくなってきます。



「おっかしいなあ。もう近くまで来てるはずなんだけどなあ」



ウロウロした挙句結局元の道に戻り、もう一度別の道でチャレンジしてみました。今度はすんなり目的の道に出ることができました。

間の悪いことは重なるもので

「やれやれ。着いた着いた」


ようやく到着しました。お客さんの会社の隣にコインパーキングがあって普段はそこに止めていますが、今日は運の悪いことに満車です。


会社の周囲をぐるぐる回り、3つほど満車のコインパーキングをやり過ごして、ようやく空きを見つけました。



が、そこは目的地まで歩いて15分くらいのところです。



「仕方ない!路駐して切符切られるよりはマシだ!」



そう自分に言い聞かせ、ふうふう言いながら早足で15分の道のりを走り歩きます。

ようやく会社の受付にたどり着きました。長かった!

どんどん疲弊していく

この時点で半ばどうでもよくなっている、というか道に迷ったあたりですでに心は折れています。


やれやれと思いながら担当者を呼び出してもらうと、約束の時間をすでに2時間過ぎているので、担当者は次の用事でもう外出してしまったあとでした。



「はあー。悪いことしたなあ」



と思いながら会社に戻り、電話とメールで平謝り、次の約束を取り付けます。



実際に会えたのは3日後、最初のアポ取りから数えるとすでに10日以上経過してからのことでした。

相当ダメな奴に見える

Photo by ptrlx


とまあ、こんな目に遭ったら、たいていの人は相当へこむでしょう。

また、もしこんな営業マンがいたら、相当ドジで要領の悪い、ダメな奴に見えます。



そもそも相手に会う前にすでにくたびれ果ててしまっているわけです。

相手に会って打ち合わせをすること(もっと言えば、打ち合わせした結果で仕事を進めること)が目的のはずなのに、うっかりすると「相手に会うこと」が目的になってしまいます。



IT業界というのは、言ってみればこういうことが毎日毎日起きているようなものです。



非難轟々

もしよその業界でこんなことをやらかしたら散々非難されるに違いありません。



「普段からトラブルに備えておけよ」
「何があるか分からないんだからもっと余裕を持ってスケジュールしろ」
「トラブルが起きるのは自己管理の問題だろ」
「それくらい予想しておけ」
「トラブルの対処が下手くそすぎる」



まあね、そういう非難はまったくもっておっしゃる通り。

しかし、いくら普段から備えておこうが、いくら予想して準備しておこうが、あらゆる予想を越えて発生するのがトラブルというものです。

予期せぬトラブル

予期せぬトラブル、とはよく言いますが、これは本当に字義どおり予期できないことを意味します。予期できるようなトラブルは、IT業界ではトラブルのうちに入りません。

まったく予想もしていなかったトラブルが常に起き続け、事態を収拾しようとしてさらに泥沼化する。

自分が悪いような悪くないような、そんなトラブルに毎日毎日見舞われ続けているようなものです。



このブログを読んでいる人はIT業界の中の方、つまりどちらかと言えば非難・難詰される側の人だと思います。

トラブル対処の不手際さを責められたり、時間がかかりすぎると責められたりしたときには、上のような説明を試みるといいですよ。

人に説明してみた

ということを思いついたので、試してみました。

「たとえて言えば、朝出かけるときにだね・・」と話し始めると、「そんな無駄話はいいから、いつできるのかだけ教えてくれよ」と話の腰を折られました。

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