エンジニアであれば、自分の将来像をなんとなく思い描いているでしょう。
現実的な方策を取るのはまだ少し先かもしれないけれど、いずれは身の振り方を考えないと、と漠然と考えている人が多いと思います。
職歴が長くなれば、自然といずれかの道に入っていくものですが、それは単に流されていけばいいということではありません。
エンジニアのキャリアパスは、大きく分けると次の4つが考えられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
目次
4つの道とは、以下の通りです。好きなところだけ読んでください。(リンクをクリックすると直接ジャンプします)◆プロデューサーへの道
◆マネージャーへの道
◆エキスパートへの道
◆独立への道
それでは1つずつ見ていきましょう。
プロデューサーへの道
製品の総合的なディレクションをおこなうポジションです。製品の立案、企画、構成段階から携わり、収益性や戦略を含めた全体方針を考え、開発の方向性がブレないようハンドリングする立場です。
プロデューサーに必要なスキル
1.交通整理能力
開発プロジェクトでは、エンジニア、UIデザイナー、プランナーなどなどがそれぞれの職能的立場から色々な意見を述べます。そうした意見を整理しながら製品の方針やコンセプトに照らし合わせ、どの意見を採用するかを判断する的確な交通整理能力が求められます。
2.バランス感覚
技術やUIを採用する際、製品の目的を踏まえて的確に判断する必要があります。技術的に枯れていて安定して動作することが重要なのか、楽しいUXを提供することが最優先なのか。相反する要求が対立することも珍しくありません。そうした場合にどうするのが適切なのか、偏りのない判断が求められます。
加えて、開発チームには、上層部からコスト圧力や収益圧力が常にかかります。
そうした圧力をはねのけつつ、かと言って現場のわがままをただ鵜呑みにすればいいわけでもなく、現場にとっても会社にとっても最善と思われる最適解を導き出す能力が必要です。
3.時代感覚
今何が求められているか、何が受け入れられるのか、時代の空気のようなものや時代感覚を敏感に察知し、できるかぎり製品に反映していきたいものです。もしも、なんとなく最近の傾向にそぐわないとか、時代に合わない気がすると思った場合は、即座に方向転換できるだけの柔軟性を持つことも必要です。
ただ流行を追えばいいというわけではありませんが、流行を踏まえた上であえてこちらを取るというのと、流行を知らずに単に時代遅れな場合では、雲泥の差があります。
プロデューサースキルを磨くには
1.リサーチを欠かさない
常にAndroidマーケットのランキングを眺めましょう。どんな製品が売れているのか、競合製品が出てきていないか、無料版、有料版ランキングを両方チェックしましょう。可能であれば、できる限りユーザーと直接話をするのが一番です。2.幅広く知識を身につける
アプリだけでなく、いろいろな世界に興味を持ちましょう。食べ歩きでも料理でもいいですし、ゲームやアニメでもいいでしょう。スポーツ、車、音楽、映画、小説、少しでも興味が持てればどんどん首を突っ込み、どんどん実践しましょう。マネージャーへの道
エンジニアからのキャリアパスとしては、一番多いケースかもしれません。プログラマ→SE→チームリーダー→マネージャー、というのはIT職の一つの典型です。
マナージャーに必要なスキル
1.チームメンバーの士気を高める
マネージャーは何をマネージメントするかと言えば、人です。チームメンバーをマネージメントするのがマネージャーの大きな役割です。そのためには、チームメンバーが働きやすい環境を作ることが、何にもまして重要です。
チームメンバーが不満を持っていないか、インセンティブが十分か、常に気を配っておきましょう。
2. コスト感覚
マネージャーには、チームやプロジェクト単位での収益責任が課せられていると思ってください。マネージャーはプロジェクト管理をするだけであって、収益性を確保するのは、部長なり事業部長なり、もう一段上の職位の人の役割だと思っているでしょう。表向きはそうです。
しかし、考えてみてください。「あいつに任せると、予算をジャブジャブ使って利益率悪くなるなあ」とか、最悪「あいつは赤字体質だ」と思われてしまったらどうでしょう。どう考えても不利です。
「金の話はブチョーが考えるから他人ごとだし♪」などと思わず、しっかりコスト意識を持ってください。
3.戦略性
短期的な視点ではなく、中長期的な視野を持つことが必要です。たとえば本来は基盤チームが開発するような汎用性の高いライブラリの作成や、本来全社単位でおこなうべき作業の手順化や標準化など、プロジェクト単位で考えると一見無駄に思えることでも、別のプロジェクトで役に立つとか、全社的な効率化が図れるといった長期的なメリットがあれば、採用してみましょう。
そういう努力は必ず誰かが見てくれていて、いつかどこかで必ず拾ってもらえます。
マネージャースキルを磨くには
1.人をよく観察する
人を観察しましょう。ここで言う「人」には、上司や先輩、経営者も含まれます。外部との交渉だけではなく、社内他部署との交渉や経営陣の説得など色々な立場の人との交渉が必要となります。この際、人を批判的に見るのではなく人の長所を発見するように心がけることも大事です。
2.物事を数字で考える癖をつける
世の中数字がすべてではありませんが、少なくともマネージャーという職種に求められるのは数字で物事を考える能力です。収益、費用、売り上げ、ユーザ数、コンバージョン率、すべて数字です。数字で考えるというのは、単純に足し算掛け算ができるというだけでなく、絶対数が重要なのか比率が重要なのかといった、数字の見方や扱い方も含みます。
エキスパートへの道
「技術を突き詰め、究める」という行き方があります。エキスパートへの道です。一生現場と言いますか、管理や企画に行くのではなく、あくまでも技術者としてのスキルを高め、技術力で生き残っていくというやり方です。
エキスパートに必要なスキル
1.職人気質
分野はなんでもよいのですが、ある一つの技術に精通しなければなりません。職人的に技術を深く深く掘っていくことが必要です。しかし、多くのエキスパートは、別に修行僧のように辛く苦しい努力をしたわけではなく、技術が好きで、好奇心にまかせて調べているうちにいつの間にか詳しくなったという人がほとんどです。
2.シェアの精神
学んだ知識や技術を一人で抱え込んでいてはだめです。どんどん周りにシェアしましょう。何かの技術に精通した技術者というのは非常に親切で、人に教えることが好きな人が多くいます。
その人自身、技術を身につける過程で先達に教えてもらったりアドバイスをもらうことが多かったからでしょう。そうやって知識の連鎖、技術の輪が広がっていくのです。
3.謙虚さ
プログラマの三大美徳は怠惰・傲慢・短気ですが、エキスパートの美徳の一つに「謙虚さ」があると私は思います。自分には知らないことがたくさんあり、学ぶことがいくらでもある、と思っている人こそが技術を深めていけます。たとえ年下だったり異業種であっても、素直に耳を傾けられる謙虚さが必要です。
エキスパートスキルを磨くには
1.とにかく本を読む
技術力をつけるには、とにかく本を読むことです。書籍はエンジニアの生命線と言っても過言ではありません。ただ、技術書は高いですから、そうそう気軽に買えないかもしれません。そういうときは近所の図書館を利用しましょう。どんなマニアックな本でも、申請すれば図書館で買ってくれます。2.コミュニティに参加する
日本Androidの会をはじめとして、イベントや勉強会がたくさんありますからどんどん参加しましょう。コミュニティで培った人脈はエンジニア人生においてこの上なく貴重なものになるはずです。独立への道
今は起業が盛んで、独立起業がゴールであるような風潮がありますが、けしてそんなことはありません。企業の組織規模でなければできないことはたくさんありますし、そもそも独立というのは非常にリスクを伴います。しかしそれでも、やはり独立して自分でやっていくというのはたいへん魅力的な選択肢です。
独立に必要なスキル
1.信念
あなたは、なぜ独立したいのでしょう。あなたは、仕事をすることで何を実現したいのでしょうか。
別に崇高な目標である必要はまったくありません。
なるべくたくさんお金が欲しいから、でもいいですし、好きなコトだけ自由にやっていたい、でも一向にかまいません。
一つに絞る必要もなく、金も欲しいが自分の力を試してもみたい、あと女にモテたいし自分のサービスでグローバルにチャレンジもしたい、などと複数の動機が入り交じっていて全然かまわないのです。
しかし、どんな動機であっても、この質問に具体的かつ明確に答えられないうちは、独立は考えないことです。
2.総合力
フリーランスになるにせよ起業して小さな会社を作るにせよ、最初のうちはあらゆる業務をすべて自分でこなさなければなりません。開発やデザインはもとより、営業、広報、さらには経理、税務、人事、労務、もちろんボールペン一本買うのだって自分でやらなければいけないわけです。会社運営(たとえフリーランスでも)にまつわるあらゆる知識が必要になります。
たとえば、ボールペン100本一番安く買える方法をご存知ですか?
3.楽観的
独立してから当分は、しんどいし不安が募るものです。どんなにうまくいくケースでも、不安や怖れと無縁ではありません。そういうとき、悲観的な性格だと不安やストレスに押しつぶされてしまいます。
不安で恐ろしいけどまあなんとかなるんじゃね、という楽観的な性格が必要です。
なお、楽観的と無責任は違いますので、その点だけは要注意です。
独立スキルを磨くには
1.人脈を広げる
独立する場合に限りませんが、仕事をする上での一番の財産は人です。自分に役立つ人脈を広げる努力は常にしておきましょう。自分に役立つといっても、打算的な人付き合いをするという意味ではありません(むしろマイナスになります)。2.いろいろなことに興味を持つ
帳簿の付け方、税金の知識、広告の打ち方、キャッチコピーの書き方、求人広告の出し方、実にさまざまな事務が待っています。最初は大半を自分でこなす必要がありますなんだか興味が持てない、と思いながら勉強するよりも、なんだか面白そう、と思った方が吸収も早いですし、何よりそっちの方が楽しいです。
まとめ
細かく言えばもっといろいろな分け方がありますし、それぞれの道について、必要とされるスキルやその磨き方も、まだまだ言い足りないことがたくさんあります。この記事が少しでもご自分のキャリアについて考えるきっかけになればいいなと思います。
0 コメント:
コメントを投稿