鳴り物入りで登場した楽天「Kobo Touch」。
しかし、発売初日から不具合の報告が相次ぎ、さらに三木谷社長がインタビューで不用意な発言をしたため、炎上が広がっています。
何が問題なのか
問題点はいろいろ指摘されています。たとえば事前の宣伝では3万冊以上と言われた書籍数が1万5千点しか用意されていなかったこと、設定用ソフトウェアに致命的なバグが残っていること、炎上したレビューを全削除して言論統制を図ったこと、などです。
僕が問題だと思ったのは次の点です。
1.不具合を認めて謝るということをしていない 2.間違った「選民意識」によって、世間の知識レベルを見誤っている 3.数千人規模のクレームを「大したことない数」と誤解している |
このあたりに、楽天という企業の本質が(よくも悪くも)あらわれていると感じます。
東証一部上場企業の社長なのにあの無防備さ、ハーバード大学院まで行ってるのに、古き良き時代のコンピュータカルチャーの香りを残したオタクくさい言動など、僕個人としては三木谷さんの人柄は嫌いになれないです。
でも、無防備さが無責任さに、コンピュータカルチャーぽさが一般ユーザ軽視につながってはいけません。
マイノリティとマジョリティ
三木谷さんのインタビュー記事
日経ビジネスに掲載された三木谷社長のインタビュー記事がまた火に油を注いでいます。日経ビジネスの記事:
[細かいことで騒いでいるのは少数派ですよ]
騒いでいるのはせいぜい2000~3000人でしょう。
このあたりが、三木谷さんの無防備なところでしょう。
僕は、三木谷さんが言っていることは分かります。
彼は「ノイジーマイノリティ」の話をしているのです。
「ネットの世界では、2%のユーザが全体の98%の発言をしている」という見解があります。
ネットでおこなわれている発言の98%は、ネットユーザ全体の2%の人間によってなされているものだという主張です。
ネットのヘビーユーザというのは、ネットの世界の流行や出来事を過大評価し、現実世界に持ち込む傾向があります。
ノイジーマイノリティ
ネット上で発言するという行為は、普通の人から見ると相当偏った行動に見えるでしょう。クレーマーとか、デモ行進に参加する人などに近い感覚で見られていると思います。
もしくは、熱狂的な宝塚ファン、熱狂的な郷ひろみファン、のような感じ。
要は、普通の人にはよく分からないこだわりを持ち、よく分からない怒りやよく分からない情熱を傾ける人、ということです。
こういう人たちは、数が少ないわりに発現頻度が高く、発言内容も濃く、露出回数が多いので、ネット上で非常に目立つわけです。
こう人たちのことをノイジーマイノリティと呼びます。
声がデカくて目立ち、周囲に対する影響力が強い一部の人たち、という意味です。
マイノリティはどちらか
三木谷さんは、「Koboの不具合で騒いでるのはしょせん『ノイジーマイノリティ』だから、別に重視してない」と言っているのです。しかし、Koboの不具合を批判している人たちは、ノイジー「マイノリティ」とはちょっと言えないでしょう。
さきのインタビュー記事で、三木谷さんは次のように答えています。
まさか漢字をユーザーアカウント名にしている人がいるのかと思ったし、漢字のアカウント名を許しているウィンドウズにも驚きました。
Windowsは、もう10年以上前から日本語のアカウント名を使えるようになっています。
もう1つはコンテンツ配信ネットワークがキャッシングサーバーに行き渡るまでに想定よりも時間がかかったという問題です
CDNのキャッシュに関する知識は、ネットサービスを展開する人にとっては今や常識中の常識の技術です。
このことから伺えるのは、三木谷さんの意識や知識は10年くらいまで止まっていて、もはや三木谷さんの方が「マイノリティ」となっているということです。
一言で言うと、三木谷さんの意識はそうとう時代遅れになっているということです。どうやら三木谷さんの頭の中は2000年頃で止まっているようです。
ITリテラシーがそこまで高くない人に対する環境をもっと整えておくべきだったとは思います。
冒頭で述べた「選民意識」というのはこのあたりのことです。
選民意識というか、単に(シモジモの)現実感覚を失ってしまったというか。
三木谷さんのイメージする「ITリテラシーがそこまで高くない人」の方が、今の時代マジョリティです。
「ITリテラシーが高い人」というのは要は「パソコンに詳しいオタク」ですから、そんなヤツは職場に一人いれば十分です。
それに、Koboのような文字通り誰もが使う機器に「ITリテラシー」などを持ち出すのはまったく間違っています。
なんだかその辺も2000年脳だよなあ、と感じます。2000年ごろのWindowsってそんな扱いでしたよね。誰もが使う(使わなければならない)んだけど、それを使うためには「ITリテラシー」なる訳の分からない技能を要求されて、世界中が大混乱しましたよね。
メーカーとしては大失態
BLOGOSの記事:[楽天kobo「大炎上」は、編集者として実に残念]
この記事でも指摘がありましたが、楽天は流通企業で製造企業ではないので、クレームの恐ろしさがわかっていないのだと思います。
クレームはうまく処理しないと大変なことになります。これだけ世間の耳目を集めている製品ですから、「別にマイノリティだし」と甘く見ていると、不買運動や社会問題に発展しかねません。
数千人規模のクレームというのは、メーカーだったら十分「社長直轄の問題調査委員会」が設置されるレベルでしょう。ヘタすればリコールです。
もしかすると、パーセンテージでしか見ていないのかもしれません。つまり「販売台数10万分の2000」つまり、
販売台数は10万台弱程度で、年内目標は100万台。
騒いでいるのはせいぜい2000~3000人でしょう。
つまり、販売台数の「たった
だとしたら、それ全然違いますからね。クレームの場合、重要なのはパーセンテージじゃなくて絶対数です。
たとえ10億台売れてる製品だとしても、数千人ものクレームがいちどきに発生したら、それは全社対応すべきレベルの事故です。
Koboはどうなっていくのか
(10年遅れの知識に縛られた三木谷社長に率いられた)楽天という会社は、世間の多数派と少数派の認識すら、すでに間違いはじめているのです。楽天の登場から発展をワクワクしながら見てきた身としては非常に悲しい思いがあります。
Koboは、そこそこ売れるでしょう。
しかし、このままマジョリティとマイノリティの判別を間違ったまま突き進んだ先に明るい未来が待っているとは思えません。
なんだか、僕には三木谷さんのこういう心の声が聞こえてくる気がするのです。
「お前ら7980円ぽっちでごちゃごちゃ言うなよな。動かないくらい我慢しろ」
いや、気のせいならいいんですけどね。
3 コメント:
0.02%?→2%では??
ホントだ^^;ご指摘ありがとうございます。本文直しておきました。
初投稿です。色々あってこのブログをたまたま発見しました。2016/03/03 02:20頃前日に購入していた2回ぐらいしか読んでない電子書籍楽天Kobo二冊が読めない表示されなくなりました。ひどいですね。一応クレーム送りました。皆さん色々不具合不満あるみたいですね。2012年ごろから不具合多発してたんですね。消費者ユーザーをどう思ってるんでしょうね。ブログ主さん怒りを抑え冷静に問題点をしててたのもしいです。匿名中高年楽天ユーザーより
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